Nā ʻŌlelo Liʻiliʻi ♯7 / 日高しゅう

ʻAumakua(アウマクア)家族の守り神


この連載でも以前登場したʻAumakua(アウマクア)。 

ʻAuは「泳ぐ」「海を旅する」、Makua(マクア)は「親」「先祖」という意味。直訳すると、「先祖が旅してやってくる」という感じでしょうか。 

ご先祖様の化身とされる守護神で、その姿は動物や植物だけでなく、Ua(雨)やĀnuenue(虹)といった自然現象、Pōhaku(ポーハク/石)(!)、神話に出てくる神様など、さまざま。 

ʻAumakuaは子孫を守るだけでなく、警告を与えたり、夢に現れて啓示を与えることもあります。そして禁を犯すと子孫を見放し、災いを起こすとされています。 

そのため、ハワイの人たちは自分のʻAumakuaである動物や植物を絶対に食べたり粗末に扱ったりしません。美味しい魚がʻAumakuaだったりすると、食べられなくて残念なのだとか。 


人によっては父方、母方の両方から多くのʻAumakuaを引き継いでいるそうです。ビショップミュージアムの研究者で、文字を持たなかったハワイ語やハワイの文化を後世に残すために尽力したことで知られるMary Kawena Pukuiが自分の家族について調べたところ、確認できるだけで、なんと50ものʻAumakuaを持っていたのだそう。 


今回は、以前登城したPueo(プエオ/フクロウ)の他に、ʻAumakuaとして有名な動物をいくつかご紹介します。 



Honu(ホヌ)ウミガメ 

ハワイをはじめとするポリネシア文化圏では、ウミガメは神様の使いとして、大切にされてきました。今では絶滅危惧種として特別保護動物に指定されており、海で泳いでいて遭遇しても、触れただけで罰金刑となるので気をつけて。 

ハワイ島にある黒砂で有名な海岸Punaluʻu(プナルッウ)には、Kauila(カウイラ)というウミガメの伝説があります。KauilaPunaluʻuの砂浜にある泉の中に住んでいて、その水は人々に飲み水となりました。そして日中は人間の女の子の姿になって子供達と一緒に遊びながら、子供達を見守っていたのだそうです。かわいい神様ですね。 


Moʻo(モッオ)トカゲ 

ハワイの神話にも度々登場するMoʻo。私はハワイではWaikīkī(ヴァイキーキー/ワイキキ)に住んでいたのですが、そんな都会の真ん中でも、しょっちゅう小さなMoʻoに遭遇しました。
そんな生活に密着した(?)Moʻoなので、ハワイの神話の中にも、数えきれないぐらいのエピソードがあります。せっかくなので、また別の機会に。 (神話に登場するのは大きいMoʻoです。)


Heʻe(ヘッエ)タコ 

Heʻeはハワイの四大神の一人として有名なKanaloa(カナロア)の化身(Kino lau/キノラウ)でもあります。Kanaloaはもともとポリネシア文化圏では創造神タンガロア(Tangaroa)だったものが、ハワイでは海や漁業、冥界や黄泉の国を司る神様となったようです。

神様のわりに、ハワイの創世神話『Kumulipo(クムリポ)』では、“Hānau o Kanaloa, o ka he’e-haunawela ia”(変な匂いのするタコ、カナロアが生まれた)と、なんだかかわいそうな言われようですが… 

余談ですが、私はタコが好き。WaikīkīにあるレストランMAHINA & SUN’SHeʻeのサラダがお気に入りです。おためしあれ。 


Manō(マノー/鮫) 

海に囲まれたハワイ。鮫は人々にとって身近な生き物。前回登場した、女神Pele(ペレ)の兄Kamohoaliʻiは鮫の神様。

ワイキキビーチに立つ銅像で有名なサーファー・水泳選手、Duke Kahanamoku(デューク・カハナモク)のʻAumakuaは鮫でした。ハワイには死者の魂がʻAumakuaになるために行われるkākūʻai(カークーッアイ)という儀式があり、亡くなった人の骨をそのʻAumakuaが住むとされる場所に返します。デュークが亡くなった後骨が海に撒かれ、たくさんの鮫が現れたと言われています。 


前回登場した、ʻIʻiwi(イッイヴィ)や ʻElepaio(エレパイオ)も代表的なʻAumakuaです。 

他に、こんな生き物たちも。 


ʻīlio(イーリオ)犬 

ʻiole(イオレ)野ネズミ 

ʻiole liʻiliʻi(イオレ・リッイリッイ)ネズミ 

Peʻelua(ペッエルア)イモムシ 

Leho(レホ)貝 

Puhi(プヒ)ウナギ 


最後にちょっと文法的な話を。 

ハワイ語の名詞には、基本的には冠詞が付きます。定冠詞は続く名詞が単数か複数かで違い、単数の場合、さらに名詞の最初の文字でkeまたはkaが付きます。名詞そのものは単数でも複数でも基本的には形が変わりません。 

例えばHonuの場合、単数だとKa honu、複数だとNā honuといった感じです。 


ところがʻAumakuaの場合、もうひとつ気をつけるポイントが。単数の場合は、Ka ʻaumakuaで問題ないのですが、複数になるとNā ʻaumākuaとなり、makuaのaの上に棒がつくのです。この棒の名前はKahakō(カハコー)。Kahakōが付いている母音は延ばして発音するので、Nā ʻaumākuaは「ナー・アウマークア」となります。 


たまーにこういう変化をする単語があるので、辞書を引くときに「おや、何か変だぞ?」と思うことがあるかもしれません。 

私がハワイ語の先生から教えてもらったおすすめは、オンライン辞書「Nā Puke Wehewehe ʻŌlelo Hawaiʻi」。英語のサイトなのでそのハードルはありますが、複数の辞書の意味が調べられるので、とても便利です。 



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