Baby's coming! ♯7 / Saori

今、改めて考える「胎児教育」【プロローグ】


皆さんこんにちは。 

2月は東京にも雪が降って、北海道を中心にとても寒い日が続きましたね。温活を取り入れて体も心も温かく過ごせたでしょうか。この寒さが、ステキな春を呼んでくれる日が楽しみですね。 

私たち赤ちゃんに携わる病棟では、2~3月にお産が増える傾向にあります。保活などのために4月のお産を少しずらしたいと考え、妊娠時期を調整するという方もいらっしゃいます。 

この時期でもまだまだインフルエンザや風邪も流行っているので、まずはご自身の体調管理から気をつけて過ごしていきたいですね。 


さて、今回からテーマは、「妊娠」に入ります。

今回は「胎児教育」について。 

実際のところ胎児の時期から「教育」って必要なのでしょうか? 

そして、必要なのだとしたら、一体何ができるのでしょうか? 

妊娠時期から胎児がお腹の中でどのように成長するかを知り、胎児教育について一緒に考えていきましょう。 


生まれる前から胎児はひとりの人間

はじめに、胎児教育という言葉が生まれたきっかけからお話しします。 

馴染みがない言葉かなと思いきや、70年以上前から研究されているんです。「胎教」や
「胎内教育」など、呼び方はさまざま。 

胎児教育にとって重要な研究の一つが、妊娠中の母親の心、胎児の心、その相互作用を研究する「出生前心理学」または「胎児心理学」と呼ばれるものです。 


1940年から1950年にかけて、精神科医らにより胎児の成長に関する研究は行われていましたが、機械や装置などの技術的な問題から、立証することが難しい状況でした。 

しかし1960年代中頃から、医療の進歩によりエビデンスが得られるようになり、命が宿り1ヶ月程度になるころには、驚くほど複雑な条件反射活動が始まることが明らかになりました。 

アメリカを拠点とする出生前・周産期心理学協会(APPPAH)を中心に、現在も胎児心理学の研究が進んでいます。APPPAHの創設者トーマス・バーニーは、胎内環境と出生直後の状況が赤ちゃんの人格形成に与える影響について研究を進め、『胎児は見ている―最新医学が証した神秘の胎内生活 (ノン・ポシェット)』という本を出版し、世界的なベストセラーになりました。日本ではあまり一般的でない出生前心理学、胎児心理学ですが、すでに沢山の研究が進んでいる分野なのです。 


胎児は小さな小さな受精卵から、生まれるまでの約10ヶ月の間に、心臓を鼓動させ、呼吸様運動をし、羊水を飲み込んだり手や口を動かしたり、全身で動き、人間活動のほとんどをお腹の中でマスターしてから生まれてきます。ですから、赤ちゃんは生まれたその時点

から一人前として扱うべき存在なのであると、私は感じています。 



脳の成長に伴い、お腹の中で五感も発達

次に、赤ちゃんの脳の成長について。 

脳を中心とする中枢神経系は各器官のなかでも最も早い時期から発生します。どのくらい早いかというと、受精卵が分裂して子宮に着床する胎齢3週ごろからなのです。 

胎齢11週ごろには大脳、小脳、脊髄などの外観がはっきりしてきます。 

胎齢22週には、脳の基本的な構造は成人とほとんど変わらないくらいにになります。大きさは約100gで、生まれる時期になると350~400gまで成長します。ここまで成長するのは、胎児のシナプス(神経と神経の接合部)の形成が活発である証拠なのです。 

赤ちゃんの脳はお腹の中でぐんぐん成長し、たくさんの能力を身につけて、胎外生活に適応できるように準備をします。 


視覚 

在胎29週ごろから光に対して眩しがる反応を示します。 

在胎32週にはじーっと見つめる注視もできるようになります。 


聴覚 

在胎26週には音を感知していことは、すでに50年以上前から報告されています。 

お腹の中は静かだと思う方が多いかもしれませんが、ママの心臓の音や胃のごろごろする音、腹壁を通して聞こえる外の音など、沢山の音を感じて過ごします。最近では子宮内の音や心臓の音を赤ちゃんに聞かせると泣きやんだりすることは、皆さんも聞いたことがあるかもしれません。赤ちゃんは静かな方がよく寝るとは限らないのです。 


触覚 

在胎7~9週には反応を示すことが知られていて、在胎12週ごろには口唇への刺激に反応して口を閉じたり、足の裏の刺激に対して原子反射であるバビンスキー反射(親指を反らせる反応を示す)が認められるようになります。 

在胎31週ごろには皮膚の触覚は完成するとされています。 



NICUでは生まれた週数から、感覚がどの成長レベルにいるかを判断し、部屋を暗くしたり、音楽を聴かせたり、カンガルーケア(肌と肌を合わせた抱っこ)などをケアに組み入れ、発達を促しています。 


一番大切なのは、ママとパパが幸せを感じていること

そしてもうひとつ。胎児にも感受性があるのだそうです。 

私たちがストレスを感じると血液中にカテコールアミンという物質が流れてきます。このカテコールアミンは胎盤を通過し胎児に移行します。すると、胎児も母親と同じように不安に襲われると言われています。在胎6~7ヶ月になると、胎児はかなり敏感に母親の態度や感情に反応すると言われているからです。 


赤ちゃんの成長って、驚くほど早いものですよね。 

だからこそ、ママとの信頼関係や愛情がとても大切になってきます。お腹にいるときから

沢山のコミュニケーションを取ることを意識してみましょう。コミニュケーションは赤ちゃんの中枢神経に重要な刺激を与え、安心感につながります。 

赤ちゃんが一番聞き慣れているママの声、パパの声を沢山聞かせてあげてください。 


胎児は自分を守ってくれている母親の愛情が確認できたとき、たとえ母親がストレスを感じても、自己防衛を行い、自らに影響がいかないようにすることを学んでいると言われています。 

よって一番大切なことは、自分の赤ちゃんに対してママがどのように考えているかということ。胎児は母親の感情を敏感に感じることができるだけではなく、胎児を欺くことはできないと言われていて、この胎児の心理は新しい心理学の研究でも明らかになっています。これが「出生前心理学」なのです。 


ママと胎児はずっと一緒です。いつもコミュニケーションを取っています。そんな中で、ママがイライラしていたり悲しんでばかりいたら、赤ちゃんも同じ気持ちになります。その気持ちを感じていた赤ちゃんは、生まれてからもその不安を引きずってしまい、ぐずぐずしたり夜泣きが多い傾向にあります。胎児期に生まれた後の過ごし方、心の在り方を教えてあげることができるのは、赤ちゃんと物理的に繋がっているママ。そしてその協力ができるのはパパだけなのです。 

まずはママとパパが赤ちゃんといることを喜び、幸せだと感じること。ママとパパが安心していることが、「胎児教育」の第一歩です。 



記憶面でも明らかになっていることがあって、胎齢5ヶ月になると胎児はすでに学習の準備が出来ていると言われています。しかしこのころはいわゆる “勉強” はできないので、生活習慣を教えるといいでしょう。例えば、ママがしている行動を赤ちゃんが興味を持つようにわかりやすく伝え、実際に体験しているように感じさせてあげましょう。 


「おはよう。今日もいっぱいねんねできたかな?」 

「今日は天気がよくて気持ちいいね」 

「パパがお仕事から帰ってきたよ」 

「今日もいっぱい動いたね、おやすみ」 


そんな風に、ママの日常を赤ちゃんに教えてあげでもくださいね。 

ママは朝日を浴びて日中心地よく活動し、夜は日をまたぐ前に寝る、規則正しい生活を心がけましょう。 

お仕事を続けられているママは、仕事量の調整や家事の分担、リフレッシュを心がけて生活できるといいですね。 


今回のお話はここまで。 

概要ばかりになってしまいましたが、次回は週数に合わせた赤ちゃんへの刺激の与え方をご紹介します。 

次回も楽しみにしていてくださいね。 


注:「在胎週数」「胎齢」は医学用語です。一般的には「妊娠◯週」などと言うことが多いですがが、本記事では参考文献に準じて医学用語を採用しています。
★妊娠週数=在胎週数
受精前の最終月経から数え始める呼び方。受精前なので実際は妊娠していない状態です。
胎齢と2週間程度ののずれがあります。
★胎齢=発生週数
受精をした日を0日として数え始める呼び方。



★過去の記事はこちらから。



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