Nā ʻŌlelo Liʻiliʻi ♯12 / 日高しゅう

Pō(ポー)夜/Ao(アオ)昼

ハワイの創世神話『Kumulipo(クムリポ)』。全部で2012行、16章からなる詩で、ハワイの誕生について語られています。現在は文字で読むことができますが、もともと口頭伝承されたものでした。 

何度か登場した単語、Kumuは「基礎」「礎」、Lipoは「洞窟や海などの深い青黒さ、漆黒」。Kumulipoで、「起源」や「生命の源」の意味になります。 


Kumulipo』によると、世界の始まりは(ポー/夜・闇)でした。 

全16章のうち、最初の8章がの時代。夜は未知の領域であり、無限の深さの象徴です。その暗闇の中で珊瑚や魚、鳥といった生き物や、最初の神たちが生まれました。 

続く8章がAo(アオ/昼、光)の時代。この時代にさらにたくさんの神、そしてKalo(タロイモ)や人間、王族が生まれました。Aoには「世界」や「地球」という意味もあります。 



古代ハワイの人たちの思想の根底には二元論があります。これは「良い・悪い」とジャッジするものではなく、二つ反対の性質を持つもの、「陰・陽」の対比です。 

そして、Kāne(カーネ/男性性)とWahine(ワヒネ/女性性)の対比でもあります。 


ハワイ四大神のひとり(クー)は、戦いの神であり、男性の象徴。半神半人の神マウイやモロカイ島の母である女神Hina(ヒナ)が女性の象徴とされています。 

古代ハワイの人々は、対比される自然の現象をこの二人になぞらえていました。日が昇るのは、日が沈むのはHina、昼は、夜はHinaといった具合です。 

このHinaの対比こそが、地球の実りの豊かさをコントロールし、生命の源である考えていたのです。 

それぞれ同じ綴りので動詞としても使われて、は「(まっすぐ上に)立つ」、Hinaは「(下に)横たわる」という対照的な意味を持ちます。 


ちょっと横道に逸れますが、動詞のは特に山がそびえ立つ様子を表す時によく使われます。 


ʻO Maunakea, kū kilakila 荘厳にそびえ立つマウナケア 
(「Hawaiʻi No E Ka ʻOi」より) 


ちなみにHinaはハワイだけでなく、他のポリネシア地域の神話にも登場する、古くから存在する女神。ハワイ語のWahineの語源であるとする説もあります。 


さて、世界の始まりになぞらえて、ハワイでは朝ではなく夜が一日の始まりです。 

英語で曜日は、Sunday、Monday、Tuesday… と、dayが(日)が付きますが、ハワイ語ではが使われます。 


Pōʻakahi(ポーッアカヒ/一日目)月曜日 

Pōʻalua(ポーッアルア/二日目)火曜日 

Pōʻakolu(ポーッアコル/三日目)水曜日 

Pōʻahā(ポーッアハー/四日目)木曜日 

Pōʻalima(ポーッアリマ/五日目)金曜日 

Pōʻaono(ポーッアオノ/六日目)土曜日 

Lāpule(ラープレ)日曜日 


月曜を1日目として、の後に数字の1(Kahi)、2(Lua)、3(Kalu)、4()、5(Lima)と続きます。日曜日だけは、「祈りの日」を意味するLāpuleです。 



二元論的には右が男性、左が女性とされています。
そのため、ハワイのトイレは必ず男性が右、女性が左になっているのだそう。
たいていの場合、KāneWahineのかわいい看板がついていますので、ハワイでトイレに行った場合は左右を確認してみてくださいね。




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