Body Journey〜からだつれづれ ♯8 / つるやももこ

働くってなんだろう?


わたしは今、4つの仕事を持っています。

まずは、この「Hōʻailona」編集室の運営。

そしてフリーランスとしての編集・取材・執筆のお仕事。

ほかに大学講師として大学1年生を教えています。夜は、ときどき都内のバルで接客をしています。とくに2番目の編集業務は、媒体も現場もさまざまなので、細かくいうと4つどころではなくなります。

で…、ですね。「このなかでどれが本業ですか?」と聞きたくなる方もいると思います。

仮に、本業という定義を、“いちばん収入が多い業務” と捉えると、答えは明確です。

しかしながら、自身の心持ちで答えようとすると、「どれも同じように大切なお仕事です」となる。

つまりは、仕事=生活の糧と捉えるか、仕事=人生の活動の一部と捉えるかで、だいぶ見解が分かれるのだろうと思うのですが、わたしの解釈は、後者です。


そして、「なんのために働くのか?」これは、今年になって繰り返しわたしの内側に湧いてくる問いでもあります。


基、仕事の対価は一般にお金であるわけですが、仮にこの対価だけを追求していくと、”わたし”という存在がどんどんしぼんでいくように思います。しかしながら、ご飯を食べなくては生きていけないわけですから、そこに葛藤が生まれるわけです。


合わせて、最近「好きなことをして暮らしていく」「好きを仕事にする」などというフレーズがよく聞かれるようになりましたが、この「好き」だって、継続していくにはいうまでもなくそれなりの努力が必要なわけで…。好きなことがすぐに見つからないことだってあるとおもうんですよ。

好きなことをしなければ…。これって新しい時代のプレッシャーにもなりかねないなあって。



ところで自分のことに話を戻すと、

ふと、仕事について端的にテーマを決めてみようと思いました。

浮かんだキーワードは、

「人と話す、聞く」「コミュニケーション」「書く」。

このいずれかが当てはまっていれば、わたしにとってそれは仕事になり得るということです。

今、そこに発生する対価はいくらであってもよい。未来への可能性が感じられれば気持ちよく続けていける。そう思いました。


こんないきさつで、今は4つの仕事を持つことになったわけですが、いちばん最近始めたお仕事、バルでの接客が意外な発見をもたらしてくれました。


カウンター9席だけのその店は、うなぎの寝床のように縦長です。調理をするオーナーと従業員2人だけで店を回します。

わたしは、細長い空間を行ったり来たりしながら、オーダーを取ったり、カトラリーを用意したり、食器を洗ったり、ワインやビールを注いだり…。

食器やワインクーラーなどの備品は、頭上の棚に置かれているので、頻繁に踏み台を乗り下りもします。上下左右、からだをひたすら動かしながら細々した仕事をこなしていく。

合間にときどきお客さんとお話しする時間がたのしい。そうして、時計を見る暇もないくらい動き続け、ふと気づくと終電間近という日がほとんどです。


そしてあるとき、はっとしたのです。

これはまるでメディテーション(瞑想)だ! と。

じっと机に向かい、文章を書く、読むという作業は非常に頭と目を使います。

そんな日々の中で、からだと頭をバランスよく存分に動かし、使うことの大切さを気づかせてくれたのが、このお仕事でした。


普段の生活でもメディテーションはできる。

「しあわせなからだ」でNorikoさんが書いていたように、静かな集中は、じっと座っていなくても可能なのです。



これは8年ほど前の話です。

朝から晩までパソコンの前に座って、ろくに食事もとらず、うんうん唸りながら原稿に向かっていたわたし。書きは消し、消しては書きを繰り返していた後ろ姿を見ていた当時のパートナーが言いました。


「なんか、昔話の『つるの恩返し』を思い出すわ」


うまいこと言ったもんです。彼から見たら、まったく楽しそうじゃなかったんでしょうね。自分のためではなく、見えない誰かのために、誰かに認めてもらうために? 身を削るような働き方が、まるで自分の羽を抜いて手機を織るように見えたというわけです。


ですが、ここ2年ほどでわたしの働く姿勢、意識はすっかり変わったように思います。

そしてここ数ヶ月の気づきで、どんどん「書く」という行為が「しゃべる・話す」ようにスムーズにできるようになりつつあります。

これは続けてきた仕事を通して、あたま・こころ・からだが繋がったからではないかと思っています。


なんのために働くのか? 

こちらはあいかわらず深遠なテーマではあるけれど、すでに解っていることがひとつ。


もう、息を詰めて、自分の羽を抜きながら仕事をするのは、まっぴらだということです。

あなたのその柔らかな羽も、どうか大切にしてくださいね。




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