サンダルウッドの丘の家より・番外編 / 山崎美弥子

デューン・シャンティ 山崎美弥子 2002


外国旅行した時は神様などについて、話題にしないのが無難ということだ。

海の砂丘のシャンティ。ケイプはそこに住んでいた。

それがケイプの世界のすべてだった。


その窓から見えるもの以外何もケイプは知らなかった。なにも。

でもケイプはすべてを知っていた。世界中の誰もそのことを知らなかった。

ケイプがそこにいることさえほとんどの人が知らなかった。

ほとんどの人たちはやはりすべてを知っていると思っていた。

そして実際、すべてを知っていた。そしてさらにすべてのすべてを知りたいと思っていた。

…窓からいつも、いつもケイプは見ていた。そこでは世界のすべてのすべてがくりひろげられていた。

いつも見ていた。


 クリーム色のひとすじのひかりが、みさきの向こうのおだやかなサーフへと、終わり無く遠く、なげかけられてゆくさまを。

ケイプは考えた。“すべて”の果てへ行くことを。

そこは遠い国よりも遠い、条件のない場所(あたたかいところ)だった。




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